耳をいただいた方々。ひとりめ「icedoll」さん
昨日のことだったのに、くわしい状況をおぼえてない。
相手の特徴も、きれいに忘れた。
はじめての人殺しだったので、とてもドキドキした。チャンスは何度もあっ
たけど、越えてはならない一線があるような気がして、おそいかかれなかっ
た。
勇気をふりしぼって、背後から×××した。
死体がぶざまに転がったはずだ。
彼は「??」と言ってきた。たぶんぼくの行動を信じられなかったんだと
思う。2秒前までLowLevelを、ふたりで助け合って生きてきたから
ね。
擬似的な殺人だというのに、ぼくは動揺していた。シューティングゲーム
のザコ戦闘機なら、ぼくのゲームライフで何億何兆と撃墜してきたし「Qu
ake」でも平気でロケランを撃っていたのに。
なんだかナマモノを殺したような気がして、彼の「NAN NANO??」
という問いに「I AM EarCollecter」と、なぜか英語で答
えてしまった。
すると、彼は当然のようにLEFTした。
初めてのPartyKillだったので、「殺しただけで全アイテムを奪
える」と思いこんでいた。
自分で他のプレーヤーを殺しても、耳と相手が持っているゴールドの半分
が強奪できるだけで、プレイヤーは「モンスターに殺されないとアイテムを
バラまかない」と知ったのは、けっこう後だった。
耳だけがぼくのとりぶんだった。
つづく
|