第三話 「Darkeness Power」


 耳をいただいた方々。さんにんめ「PsyO」さん



 PsyOさんは4つもレベルが低かったのでスキをついたらラクだった。 

課程はやっぱり記憶にない。たしかぼくが声をかけると、レベルの低い彼が

喜んでJOINしてくれたのを覚えている。さすがに、ダマシウチよりもタ

チが悪い、弱い者イジメは後味が悪いので、今後、なるべくやらないように

気をつけたい。 

 このころから、僕は、アイテムを全部うばう方法を考えていた。 

 こちらが殺しても、LEFTされたら丸損だ。実際、僕は、あまりにビン

ボーだったので、ひとりでJOINして、せっせとお金をためていた。 

 まったく、独りで真面目にお金をかせいで、強盗目的のときはアイテムや 

ゴールドをゆずりゆずって油断させ、苦労してスキをついて殺したあげくに 

LEFTされ、僕は何をやっているだろう。悪党志願どころか、ただのバカ

だ。 

 そういえば、前回「僕が殺した」んじゃなくて「敵に殺された」らアイテ 

ムをバラまいていたことや、僕が死んだ時、タウンから再スタートしたら、 

死んだ場所に僕のアイテムがあったことを思い出した。 

 自分が手をくだしてはダメなんだ。なんとかモンスターにトドメをささせ

て、タウンから再スタートさせたりすれば、相手の装備品と所持金の半分を

奪えると、ようやくわかった。 

 そして、キャラクタの育てかたも変えた。 

 いままでは「SKY−MOON−ゾディアック」系の、全ステータスをプ 

ラスするアイテムのみに価値を見いだしてしたけど「FAST」系の装備で

かためはじめた。 

 ハイレベルのプレーヤーなら当然知っていたことかもしれないけど、「F 

AST」系の防具は、攻撃を受けても即、反撃できたり、「FAST」系の 

武器なら「連射」のように攻撃できる。まるで格闘ゲームの「ハメ」のよう 

に。 

 四方八方から飛び道具で打ちまくられたり、かこまれてタコなぐりにされ 

ると、オゥオゥアァアァ悲鳴をあげっぱなしで、ポーションを使ったり、ヒー 

リングすることもできずに死ぬことがある。キーが反応しないほどよろめい 

たりなんかして。 

 そんなとき「FAST BLOCK」のタテがあれば、ほとんどの飛び道 

具をブロックするし、「FAST HIT RECOVERY」系は、殴ら 

れても殴られても固まらないし、「FAST ATTACK」系は、サクサ 

ク切り刻める。 

 つまり、もし善良な一般プレイヤーとのタイマンであるなら(非パーティー 

アタック設定だろうし)、有利にハメるように解体できるわけだ。相手は、 

ポーションもスペルも使うヒマもないわけさ。 

 僕は、ようやく、こんな「強盗・あしたのために」を頭の中で自費出版し

ていた。 



 たまたま外人同士がプレイしているタウンで、お互いが距離をおいて、ア 

イテムを見せ合い、トレードしている場面にでくわした。ラッキーなことに 

その名刀をかすめとることができたので、かれらのモーレツな非難と、返却 

の嘆願を無視して、ショップで換金するとハッピーになれた。 

 外人にお礼を言ったあと、僕は町を後にした。 



 つづく 


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